小動物腎臓病センター

腎臓病はどの動物病院でも診断、治療、看取りが行われています。
しかしながら、その検査や治療の内容は同じではありません。
腎臓病の治療は輸液が基本ですが皮下輸液や静脈輸液に反応せず、輸液が余って胸水、腹水、浮腫になって、体重が増えてしまっている場合や、「もう、打つ手はありませんので、退院されてお看取りください。」と、主治医の先生から告げられた時にはお力になれるかもしれませんのでご相談ください。
当院は院内に小動物腎臓病センターを開設し、犬のレプトスピラ症・ブドウ中毒や猫のユリ中毒などの急性腎障害や犬猫の萎縮腎・嚢胞腎などの慢性腎臓病の高窒素血症・乏尿・無尿など、特に犬猫の腎臓由来の高窒素血症(尿毒症)に対して酸塩基平衡補正・経食道チューブ栄養・透析医療による除水などを採り入れた積極的なアプローチを飼い主様がご希望される限り提供し続けております。
転院されなくても、また、主治医様のご紹介無しでもご相談、検査はお気軽にお受けいただけます。
なお、透析医療は日本小動物血液透析協会の実施する所定の講習を修了した獣医師が行っています。

酸塩基平衡補正

ヒトも含めて動物の血液のpHは狭い範囲に調製されています。
ところが腎臓に問題が生じるとそのpHが容易に酸性に傾くことがあります。この症状をアシド-シスと呼んでいます。
左の検査結果は慢性腎臓病の猫の静脈血の酸塩基平衡を分析したものですが、左側が初診時、右側が治療5日後の結果です。
猫の静脈血のpHは正常が7.28~7.38で7.13より下がると生命の危険があると考えています。HCO3-の補給と補液で、pHとNa、Kが補正されて状態が回復しています。

安静時エネルギー要求量(RER)

慢性腎臟病の猫では自分では必要な餌と水を摂りきらないことが判っています。
当院では、頚部皮下から食道にチューブを入れて、腎臓病用の缶詰と必要量の水を合わせてピューレ状にして与えることをお奨めしています。
投薬も同時に行えますから従来の皮下補液に代わる治療です。

Kg RER Kg RER Kg RER
0.5 41 18 612 36 1029
1 70 19 637 37 1050
2 117 20 662 38 1071
3 159 21 687 39 1092
4 197 22 711 40 1113
5 234 23 735 41 1134
6 268 24 759 42 1155
7 301 25 782 43 1175
8 332 26 806 44 1196
9 364 27 829 45 1216
10 394 28 852 46 1236
11 423 29 875 47 1257
12 451 30 897 48 1277
13 479 31 919 49 1296
14 506 32 942 50 1316
15 533 33 964 51 1336
16 560 34 986    
17 586 35 1007    

透析医療とは

透析医療には腹膜透析と血液透析があります。
腹膜透析とは、腹腔内に注入した透析液中に腹膜を介して体内の有害物質や余分な水分を浸み出させた後に排液します。
血液透析とは、血液を体外に導き、血液に浄化処理を行った後に、体内に戻します。
透析は物理現象を利用した医療ですので適切な条件で行われた場合にはBUN、CREAに代表される尿毒症物質、リン、カリウム、余分な水分は必ず減少します。
この透析を利用して疾病の治療や予防を行うことをいいます。次のようなケースで通常医療に反応しない場合に透析医療の導入を検討いたします。

小動物における透析医療の適応

  • 急性腎不全における電解質異常や酸塩基平衡異常の解消
  • 慢性腎不全における急性憎悪の改善や周術期管理
  • うっ血性心不全による肺水腫における除水
  • 低体温症における血液の加温
  • 中毒時における中毒原因物質の除去

腹膜透析の流れ

まず、腹膜透析の流れから見てゆきましょう。

  1. 腹腔カテーテルの設置が必要です

    透析するために透析液を腹腔内に注入、排液させる必要があります。

    ヒト用腹膜潅流セットの腹腔カテーテルと呼ばれているカテーテルを全身麻酔下の手術で設置します。
    この時、排液の妨げになる体網と呼ばれる腸管を包んでいるネットを切除します。

  2. まず生命危急の状態から脱するための集中的な透析を実施します。その後は安定した状態を維持させるための透析に移行します。

    動画は透析液の注入(上)と排液の様子(下)

  3. 腹腔カテーテルの管理

    埋設したカテーテルは滲出物が詰まったり動物が傷つけたりしないように丁寧に守られます。

血液透析の流れ

次に血液透析のながれを見てゆきましょう。

  1. 血液アクセスの確保が必要です

    透析するために血液を体外循環させる必要があります。
    ヒトでバスキュラーアクセスと呼ばれている血液アクセスを犬猫でも確保する必要があります。
    動物では現在ヒト透析用血管カテーテルが用いられており、埋設には全身麻酔による手術が必要です。

  2. まず1、2回目はゆるい透析から開始し、3回目からしっかり透析します。

    高窒素血症により異常な浸透圧となった動物の血液を急激に透析により浄化すると、不均衡症候群に陥り生命が危険になることがあります。

    * 不均衡症候群 …
    血液中の電解質のバランスや浸透圧が急激に変化することにより生じる不都合
  3. 血管アクセスの管理

    動画は透析用カテーテルのヘパリンロック(上)とカテーテルのドレッシング(下)の様子

    埋設したカテーテルは血液が固まって詰まったり動物が傷つけたりしないように丁寧に守られます。

腹膜透析と血液透析の比較

腹膜透析と血液透析の長所と短所を見てみましょう。

腹膜透析は透析効率や除水効率が血液透析より落ちる短所があるので、時間と回数が必要になり、また、抜くことができない毒物がありますが、その分、1回の透析が及ぼす影響が少ないので副作用が出にくい長所があります。
血液透析は透析効率が優れており、抜くことができる毒物の種類も多い特徴がありますが、その分、副作用に注意しなければなりません。
また、血液を体外に出す最低量が決まっているので、小さい動物や貧血がある動物は適応が限られます。
当院では腹膜透析の手に負えない症例について血液透析を選択しています。

動物の健やかな生活をトータルでサポートするとともに、動物のケアを通して皆様の心を癒すための動物医療を目指しております。

●:診察★:検査・手術

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診察 診察 診察 診察 専門外来※1 診察 休診
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検査・手術 検査・手術 検査・手術 検査・手術 検査・手術
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