ニャンコにお薬を飲ませてみよう!

2022/10/25

みなさんは愛猫にお薬を飲ませたことはありますか?
病院には治療のためにお薬を飲まないといけないネコちゃんとそのご家族がたくさんいらっしゃいますが、かなりの割合の方が苦労されているようです。
ネコちゃんの好みや性格に合わせて工夫・試行錯誤をして、良い方法を見つけられることもあれば、一方でどうしてもお薬を飲ませることができず断念することもあります。

今回はネコちゃんにお薬を飲ませるための色々な方法をご紹介します。
まだ若くて元気なネコちゃんには関係なさそうですが、そういう子もいつかお薬が必要になるかもしれませんので、ぜひご覧ください。

 

 

◇薬の剤形と飲ませやすさ

内服薬の剤形には、錠剤カプセル散剤(粉)ペースト液剤などがあります。
これまでネコちゃんに薬を飲ませたことがある方はどの剤形が飲ませやすかったでしょうか?

飲ませる人の慣れやネコちゃんの性格で違うかもしれませんが、
飲ませやすさを調べた研究によると、液剤、錠剤、散剤、ペースト、カプセルの順に飲ませやすかったそうです
また、内服薬をそのままで飲ませるか、フードやおやつに混ぜるかについては、上位の液剤と錠剤はそのまま飲ませる人が多く、それ以外についてはフードやおやつに混ぜることが多いという結果が出ています

 

 

◇色々な薬の飲ませ方

・美味しいものに混ぜる
そのネコちゃんが特に好んで食べるオヤツやウエットフードなどに薬を混ぜて飲ませます。
全ての剤形の薬で使える方法ですが、薬の臭いや苦みが強いとネコちゃんが飲んでくれない場合があります。
また、多量のオヤツやウエットフードに混ぜると残してしまった場合に飲めた薬の量が分からなくなるので、出来るだけ少量のものに混ぜるようにしましょう
オヤツやウエットフードの他にも薬を飲ませるために作られた投薬補助剤を使うのも良いですし、食事制限がなく少量であれば練乳やマヨネーズといったものを使うこともできます。
いきなり薬を混ぜて与えるのではなく、これらの選択肢の中からそのネコちゃんが特に好んで勢いよく食べてくれるものを確認してから、薬と一緒に与えてみてください。
また、散剤をまとめたり、薬の臭いや苦みを隠したりするのにオブラートを使うこともできます。

 

 

・そのまま喉に落とす
口を開けてくれるネコちゃんの場合、頭を上から包むように持ち、上を向かせて口を開け、喉の奥に薬を落とし、飲ませることができます。
喉の奥に入れるので、ネコちゃんは味わったり吐き出すことができず飲み込みます。
錠剤カプセルで使える方法ですが、カプセルに入れることができれば他の剤形のものでもこの方法で飲ませることができます。

 

口を開けるのが苦手なネコちゃんの場合、下の画像のような投薬補助器具を用いて喉の奥に錠剤やカプセルを落とす方法もあります。

 

この方法は熟練すると確実に素早く内服薬を飲ませることができるとても良い方法ですが、注意点があります。
ネコちゃんは薬だけを飲むと食道に張り付いてしまい、胃まで流れてくれないことがあります。ですので、薬を飲ませた後は水や食事を与えてしっかり胃まで薬を流す必要があります
詳しくは ニャンコの豆知識 ニャンコに『薬だけ』を飲ませていませんか? をご覧ください。

 

 

・液状にしてシリンジで飲ませる
薬を水や流動食に溶かし、シリンジ(注射器)で喉の奥にゆっくり流しいれて飲ませます。液剤はそのまま飲ませます。
液剤以外にも水や流動食に溶かすことができれば他の剤形の薬にも使える方法です。
飲ませる際は誤嚥(気道に入ってしまうこと)しないようにゆっくりと入れる必要があり、量が多い場合は何回かに分けて与えます。ですので、薬を溶かす際はできるだけ少量の水や流動食に混ぜる方が良いでしょう。

 

 

◇錠剤を飲ませてみましょう!

それでは錠剤をそのまま喉に落とす方法を動画と画像を使いながら詳しく説明します。
まずは、通常の方法を横から見た動画をご覧ください。

次に、通常の方法を上から見た動画をご覧ください。

次に、投薬補助器を使った動画をご覧ください。

ネコちゃんの頭は通常の方法と同じように持ち、投薬補助器は下の写真のように犬歯の後ろから差し込み、喉の奥で薬を押し出します。
薬を液状にしてシリンジで飲ませる際も同じような方法でシリンジを入れていきます。

 

いかがでしょうか?ネコちゃんも人も慣れるとこれくらいスムーズにお薬を飲めるようになります。
では、通常の方法を行う際に重要な
3つのポイントを説明します。

 

①最初の頭の持ち方
頭を持つ時は下の写真のように眼の下にある頬骨に指を当てて、頭全体を掌で包むように持ちます。

 

 

②上を向かせる角度
上を向かせる角度は非常に重要で、しっかり上を向かせることができないと薬をうまく入れることができません。
写真のように鼻先がまっすぐ天井を向き、口を開けると真上から喉が見える状態が理想的です。

上を向かせていった時に十分な角度になると自然と口が少しだけ開くネコちゃんが多いので、それを目安にしても良いかもしれません。
左の写真が角度が不十分な時で、右の写真が角度が十分な時です。

 

③薬の落とし方
最後に薬の落とし方ですが、②までがうまくできていれば、あとは口を開けて真上から喉に向かって薬を落下させるだけです。
動画では親指と人差し指で薬をつまみ、中指で下顎を押して口を開けています。
写真の赤い〇の部分が喉になるので、右の写真のように錠剤を落とします。
このように喉に落とせると、ネコちゃんは味わったり吐き出すことができず飲み込みます。

 

これらのポイントを意識しながら練習してみてください。
いきなり薬で実践するのはお勧めしません
練習には①頭を触る②頭を持ち上を向かせる③口を開ける④喉にオヤツやドライフードを落とす、という段階があり、一つ一つネコちゃんを慣れさせながら時間をかけてステップアップしていきましょう。
ですので、薬を必要としない健康な時から練習しておくことが重要です
慣れさせるのに最も有効な方法は毎日この動作をしながら、もしくは動作が終わった直後にご褒美のおやつやフードを与えることです。ネコちゃんが短時間であれば嫌がらずに我慢してくれるようになったら次の段階に進んでいってください。

時間も労力もかかりますが、病院で錠剤やカプセルを処方されたときにストレスなく薬を飲ませることができるように、ゆっくり地道に練習してみてください。もちろん、他の方法でお薬を飲めるならこの方法にこだわらなくても大丈夫です。
投薬補助剤や投薬補助器の詳細については当院にご相談ください。

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