長生きの秘訣は『不妊手術』と『キレイな歯』

2022/2/16

ワンちゃんにはできるだけ元気に長生きしてほしい、というのが全て愛犬家の願いだと思いますが、皆さんは愛犬の健康のためにどんなことをされていますか?
どんなフードが良いか?どれくらい運動させるのが良いか?おやつは?オモチャは?などなど、皆さん日ごろから色々と調べられたり試されたりしていることと思います。
しかし、世の中のワンちゃん達は品種も、性格も、生まれ持った体質も、家族構成も違いますから、なかなか「こうしたら長生きできるよ」と一概に言うのは難しいんです。

実は数年前に約237万頭の犬を調査することで、何が寿命に関連するかを調べた研究が発表されました。
これはあくまで数多くある研究の中の一つであり、この結果の全てが真実とは限りません。
でも、237万頭って凄い数ですよね!
一般的には元になるデータが大きければ、その研究の結果も信頼度が増すと言われていますので、この研究もかなり参考になると思います。
今日はこの研究から推測できたワンちゃんの長生きの秘訣についてお話します。

 

 

◇犬の寿命に関連するもの

研究において様々な要素と寿命の関連性が調べられており、その中で明らかに寿命に関連していたものは以下の通りでした。

・小型犬>中型犬>大型犬>超大型犬の順で寿命は長かった。
・雑種は純血種よりも寿命が長かった。
・不妊手術(避妊、去勢)を受けている犬は、そうでない犬よりも寿命が長かった。
・1年1回のスケーリングを受けている犬は、そうでない犬よりも寿命が長かった。

どうでしょうか?最初の3つは聞いたことがある方は多かったのではないかと思いますが、最後の1つはご存知でしたでしょうか?
確かに歯がキレイな子ほど長生きする傾向にあるとは感じていましたが、実際に研究結果として示されたことには獣医師としても驚きました。
先述したようにあくまでも1つの研究結果ではあるのですが、少なからずスケーリングは寿命に良い影響を与えているのかもしれませんね。

 

 

◇不妊手術(避妊、去勢)の重要性

雄では精巣を切除する去勢手術、雌では卵巣と子宮を切除する避妊手術を行うことで、以下のようなメリットがあります。

・予期せぬ交尾による妊娠の予防
・雄では精巣・前立腺・肛門周辺の病気の予防
・雌では卵巣・子宮・乳腺の病気の予防
・一部の問題行動の改善や予防

特に子犬の時期に不妊手術を行うことで効果が上がります。
これらのメリットによって様々なリスクを避けることができ、それによって寿命が延長できると考えられます。
実際に研究においては、不妊手術を行っていない動物の死亡リスクは雄で9.2%、雌で46.8%上昇していました。
不妊手術にはデメリットとして手術自体の負担に加えて、手術後の肥満傾向(適切な栄養管理で予防可能)や尿失禁(発生は稀であり、場合によっては治療が必要)が出ることがあります。
しかし寿命という観点においてはデメリットよりもメリットの方がかなり大きいので、子供を産ませるなどの事情がない場合は基本的には不妊手術を実施する方がいいでしょう

 

 

◇スケーリング・歯科処置の重要性

スケーラーという専用の器具を用いて歯石を除去する処置のことをスケーリングと呼び、抜歯をはじめとする様々な歯の治療を歯科処置と呼びます。

歯周病は非常に多く、3歳以上の犬ではその85%が歯周病だったという報告もあります。
症状が出るころには重症化していることが多く、歯の臭いや痛みだけではなく、膿の排出顎の骨の骨折他の臓器の病気などに発展することもあります。
日頃からの予防が大切なことは間違いありませんが、現実は上手に予防できるワンちゃんばかりではありません。
そういうワンちゃんにおいては、スケーリングや歯科処置を行うことでこれらのリスクを回避することができます。
実際に研究においては、1年1回のスケーリングは死亡リスクを18.3%低下させていました。

また、スケーリングは全身麻酔下で行う処置ですので、実施前には安全に処置が可能かを確認するために全身検査を行います。つまり、1年1回スケーリングを行うということは1年1回全身検査も行っているということになります。
人間でもそうですが、毎年健康診断を行えば当然病気を早期発見・早期治療できる割合も増え、結果として寿命が延びます。この毎年のスケーリングによる死亡リスク低下にはこういうことも関係している可能性があります。

毎年の健康診断とスケーリングによって『キレイな歯』を維持することが長生きの秘訣かもしれません。
健康診断については ワンコの豆知識『健康診断』どうしたらいいの? でも解説していますのでご覧ください。

 

 

ワンちゃんが元気に長生きするための秘訣は今回ご紹介したもの以外にもあるでしょうし、その子その子で変わるかもしれません。
しかし、今回示されたことはある程度の効果があると考えられますので、ぜひ皆さんも『不妊手術』の実施『キレイな歯』の維持を心がけ、出来るだけ長くワンちゃんと元気に楽しく暮らしていただけたらと思います。

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