予防とケア
子犬、子猫の予防注射
猫はもとより、犬でもお散歩に外出されない室内飼いが増えた今日ですが、動物病院やトリミングショップ、ペットホテルの待合室、ドッグランで出会った動物から病原微生物の感染を受けないために、予防注射は必要です。
子犬
生後2ヶ月より、3週間間隔で三回の混合ワクチン接種をお奨めしています。
また、最後の接種は生後15週以降をお奨めしています。これは母犬からの免疫が減少してからの接種が効果的だからです。最後の接種から免疫が作られるまで10日以上空けていただいてから他の犬の排泄物のある場所への立ち入りをお奨めしています。
ワクチンの種類には、法律で義務付けられている狂犬病のワクチンのほかに、狂犬病以外のウイルスによる感染症だけを予防する6種混合ワクチンとレプトスピラというネズミの尿に含まれる細菌による感染症も合わせて予防する11種混合ワクチンをご用意しています。このワクチンには日本国内に流行するレプトスピラ5株すべてが加えられています。雨上がりの水たまりや、山歩きなど、ネズミの尿による汚染が危惧される環境へ犬が立ち入る可能性がある場合にはレプトスピラ入りのワクチンを選択しています。
子猫
生後2ヶ月より、3週間から4週間間隔で2回の接種をお奨めしています。
最初の年と翌年の追加接種までは、猫白血病ワクチンの入った4種混合ワクチンをお奨めしています。
犬フィラリア症予防
犬フィラリア(犬糸状虫)は、蚊によって媒介される犬の心臓内の寄生虫です。この寄生は本州では従来から非常に多く見られますが、夏の短い北海道でも、条件がそろうと感染する危険性があり、動物病院ではその予防をお奨めしています。
予防方法は毎年血液検査をしてフィラリア感染の有無を確認してから月に一度、虫下しを飲ませます。予防期間ですが、「蚊を見かけたから犬フィラリア予防薬を飲まなきゃ…」と思っていませんか。蚊の飛翔の時期と犬のフィラリア症の流行の時期は同じではありません。犬フィラリアを媒介する蚊の体内でフィラリア幼虫(ミクロフィラリア)が成熟するために必要な積算温度の単位(HDU)を算出(平均気温が14℃を何度越えたかを調べて直近30日分を加算します。)し、その合計が130を越えている期間が感染期間といわれています。感染期間以外の時期の蚊は犬フィラリアを媒介しません。過去の気温から算出された札幌の予防期間を当院では7月から11月までとしています。昨年の秋以降に生まれた子犬については、今年の検査の必要はなく月に一度の投薬のみとなります。
また、フィラリア検査で採血した血液で健康診断ができます。フィラリア検査は専用のフィラリア抗原検出キットで行なっています。健康診断の血液検査は動物専用の検査センターを用いて行なっています。血球計算+生化学19項目で実施していますが、甲状腺ホルモン測定を追加することができます。毎年の採血ですので有効にご活用ください。
中高年の犬の雄性、犬猫の雌性病の予防
肛門周囲腺腫
犬の雄性病
男性ホルモンが引き起こす主な疾患は、前立腺肥大、会陰ヘルニア、肛門周囲腺腫などが挙げられ、中高年の雄犬の生活の質を低下させます。また、雄性器管に起こる疾患に、睾丸腫瘍があります。
いずれも若いうちに去勢手術をすることで予防することができるといわれています。
子宮蓄膿症
犬猫の雌性病
女性ホルモンが引き起こす主な疾患は、乳癌、乳管拡張症、乳管増生などが挙げらます。また、雌性器管に起こる疾患に、子宮蓄膿症、卵巣嚢腫などがあります。
いずれも若いうちに避妊手術をすることで予防することができるといわれています。
猫の慢性腎臓病(CKD)のケア
食道チューブからの給餌
高齢の猫において、徐々に食餌の選り好みが強くなったり、飲水量が増えたり、体重が減少してくる場合があります。この時に、「歳のせいね。」と考えがちですが、実は腎機能が低下してきたことが原因のことがあります。
当院では、血液検査、尿検査、レントゲン検査、超音波検査等で、腎疾患が確認された場合には、通院でできるリンゲル液、その他薬剤の定期的な皮下注射を行なうことにより進行の遅延と生活の質の向上を図っています。さらに病状が進行した場合には、在宅での毎日の皮下補液、チューブ栄養、血液透析・腹膜透析を検討してゆきます。腎疾患用の処方食は、尿検査で尿比重が低下し始めた時から利用されることをお奨めしています。
犬のアレルギー性皮膚炎のケア
犬において、治療を終了すると繰り返し再発する皮膚炎の中にアレルギー性皮膚炎があります。当院では、細菌性、カビ性、寄生虫性等の他の皮膚炎の原因の除外された再発性の皮膚炎について、アレルギー血液検査、アレルゲン除去食によるフードトライアル、抗アレルギー薬の投薬を行なうことにより進行の遅延と生活の質の向上を図っています。