食事療法

動物の病気には症状の緩和や進行の抑制を目的とした療法食が数多く存在します。
主なエネルギー源である炭水化物・蛋白質・脂肪のバランスだけではなく、ミネラルや微量栄養素が調整されています。
腎臓病では慢性腎臓病(CKD)において療法食が使われることがあり、普通の総合栄養食に比べて蛋白質が制限された高脂肪食となります。

 

腎臓病療法食には以下の効果が期待されます。
・尿毒素の減少
・腸内細菌叢の改善
・腎臓の機能低下の抑制
・蛋白尿の改善
・リン摂取量の減少

 

逆に言えば、上記の効果を必要としない軽度のCKDでは食事療法を使用しない場合もあります。
また、体質や持病などによって腎臓病療法食で問題が起きる場合も使用しません。

 

腎臓病療法食では以下の問題が起きることがあります。
・体重減少、筋肉量減少
・慢性腸炎、膵炎、食事性下痢
・特発性高カルシウム血症

 

CKDの動物で体重減少や筋肉量減少が起きると、それに併せて活動量減少や食欲低下が起き、さらに体重減少や筋肉量減少が悪化する”サルコペニア・フレイル”という悪循環に陥ることが知られており、寿命が短くなる可能性がありますので要注意です。

高脂肪食のために慢性腸炎、膵炎、食事性下痢といった消化器の問題が起きることがあります。特に膵炎はそれ自体が腎臓病のリスクとなります。

特に猫においてリンが制限された食事によって特発性高カルシウム血症が起きることがあります。これは尿石症の発生リスクとなり、これによって腎泌尿器により大きな問題を引き起こすことがあります。

 

CKDにおいて腎臓病療法食は寿命を延ばすことができる重要な治療法ですが、その使用は上記のメリットとデメリットを考えながら検討する必要があります。
また、最近では蛋白質制限が弱めの療法食が開発されました。従来の療法食では問題が起きてしまった動物も、これなら問題が起きない可能性があり、食事の選択の幅が広がりました。

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